我々は、RL78/F24 BLDC-RSSK (12V Motor Control Renesas Solution Starter Kit for RL78/F24) を2022年10月にリリースします。RL78/F24 BLDC-RSSKは、小型モータとインバータ・ボード、およびモータ制御ソフトウェア(センサレスFOC制御(3-shunt)、センサレスFOC制御(1-shunt)、センサレス120度通電制御)をパッケージとして提供します。ポンプやファン向けに、このキットを使用してすぐにモータ開発を始めることができます。
図 1 Renesas Solution Starter Kit (RTK7F124FGS0000BJ)
図 2 ブロック図 (例: ポンプ)
このキットには、リファレンス設計(回路図、PCBパターン図)や特性データ(EMC)も同梱しています。そのため、ご使用の環境でモータ制御ボードを容易に設計することができます。
このキットに搭載しているRL78/F24は、RL78/F13, F14の後継品であり、小型モータ制御に最適な機能を備えています。(図.3参照)
図 3 RL78/F24 Motor Control Function
RL78/F24のタイマRDe(拡張相補PWMモード)は、対称/非対称PWM出力機能と割り込みやA/Dトリガ信号の間引き機能を従来のタイマRD機能より拡張しています。例えばセンサレスFOC制御(1-shunt)では、この拡張相補PWMモード(非対称波形出力)を使用します。1-shunt方式では、各相に流れる電流を検出するために、図.4で示す状態でシャント電流を取得する必要があります。
図 4 1-shunt方式の各相電流検出
しかしながら、マイコンに搭載したA/Dコンバータを使用してシャント電流を測定する場合、A/D変換分の測定時間が必要になります。そこでタイマRDeの拡張相補PWMモード(非対称波形出力)を使用することで、PWMのON時間を変えることなく、シャント電流の測定を行うことが可能になります。(図.5参照)
図 5 非対称波形出力を使用したシャント電流測定方法
このキットに搭載したRL78/F24を使用することで、センサレスFOC制御(1-shunt)の開発が容易にできます。 センサレスFOC制御(1-shunt)は、3-shunt制御に比べて部品点数を削減できるため、低コストでシステムを実現できます。
次にRL78/F24のAAU(アプリケーション・アクセラレータ・ユニット)を紹介します。AAUは、CPUを使用せずいくつかの演算アルゴリズムを実行することができます。これにより、CPUのベクトル演算の処理負荷を軽減することができます。表.1にAAU機能の仕様一覧を示します。
表.1 AAU演算アルゴリズム一覧
AAU演算アルゴリズム |
実行サイクル |
1. Sine演算 |
1クロック |
2. Cosine演算 |
1クロック |
3. クラーク & パーク変換 |
7クロック |
4. 逆パーク変換 |
6クロック |
5. 逆クラーク変換 |
5クロック |
6. モータ向けPI演算 |
15クロック |
7. クラーク & パーク変換、モータ向けPI演算 |
22クロック |
8. 逆パーク & 逆クラーク変換 |
11クロック |
9. DC/DC制御向けPI演算 (1~3チャネル) |
6~18クロック |
10. 32ビット乗算:32-bit × 32-bit = 64-bit |
5クロック |
このキットではクラーク & パーク変換、モータ向けPI演算(No.7)と逆パーク & 逆クラーク変換(No.8) を使用しています。
このキットで使用しているRL78/F23, F24は、モータ制御に効果的な各機能を備えています。我々はお客様ソリューションのニーズに適した小型で低消費電力のRL78/F23, F24を提案いたします。
キット型名:RTK7F124FGS00000BJ