人材マネジメント
従業員の成長とエンゲージメント | ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン | 安全衛生 | 人権 | 人材データ・第三者検証
方針と考え方
ルネサスは、あらゆる多様性(ダイバーシティ)や価値観を尊重し、インクルーシブな職場環境の改善と企業文化の醸成に積極的に取り組んでいます。
世界30か国以上で事業を展開するルネサスの強みの一つは、多様性に富んだ人材が活躍していることにあります。わたしたちは、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを尊重する姿勢と具体的な取り組みが、一層革新的な製品やサービスを生み出す源泉となり、ルネサスのサステナブルな事業成長を支えると信じています。ルネサスは、異なる経歴、スキル、個性や価値観を持つ多様な人材が存分に力を発揮できる環境作りを推進することにより、個人の能力を最大限に活かします。
ルネサスでは、従業員が平等に機会を得られるようインクルーシブな企業文化の構築を目指しています。経営戦略、方針、福利厚生に加え、従業員に焦点を当てたイニシアチブやパートナーシップなどの取り組みを実施しています。 例としては、性別や経歴に関係なく同じ地域内の同等の職務に対する給与の一貫性をサポートする給与体系、性別やその他の経歴に関係なく同じ地域内で同等の価値の仕事に対する同一賃金、取締役会の女性比率を30%とする目標や、Global Semiconductor AllianceによるWomen Leadership Initiativeとの継続的な協業、ダイバーシティ推進グループおよびWomen in Technologyなどの従業員リソースグループの拡大、組織全体での多様な人材雇用や同一賃金に向けた取り組みが含まれます。詳細については、以下をご覧ください。
ルネサスの執行役員 兼CHRO (最高人事責任者)のJulie Popeは、多様性を推進するイベントや研修をはじめとしたグローバル従業員プログラムを統括しています。毎年、全従業員を対象としたダイバーシティ研修を開催しており、ダイバーシティ推進月間のインベントは一貫して高い参加率を維持しています。
ダイバーシティイベント
ルネサスCEOの柴田 英利は、従業員向けに、ジェンダーだけでなく、人種、性的指向、性自認、年齢等にかかわらず、互いの個性と人権を尊重し、相互理解に努める旨のメッセージを発信しています。ルネサスは今後も、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを促進する取り組みを進めてまいります。
2024年 ダイバーシティ推進月間
ルネサスでは、異なる文化や背景、経験やスキルを持つ多様な人々が社会にもたらしている貢献を称え、その価値を再確認する節目として、今年もダイバーシティ推進月間中にさまざまな社内イベントを開催します。
従業員リソースグループ
ダイバーシティ推進グループ(Diversity Promotion Group)の立ち上げ
ルネサスでは、世界で働く従業員一人ひとりの個性や成長する意欲を尊重し、個々の能力を最大限に発揮できる企業風土づくりに努めています。そのためには、性別や国籍、性的指向や性自認、障がいの有無、年齢など、あらゆる違いを持つ従業員が、お互いに差別や偏見なく認め合い、受け入れる「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」を組織の土台として根づかせることが重要だと考えます。
当社は、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンをグローバルに推進するため、2021年6月にダイバーシティ推進グループ (Diversity Promotion Group: DPG) を設置しました。
DPGは、自ら立候補し、社内選挙で選抜された多様なリーダーシップメンバー6名と、有志で集ったインド、欧州、韓国、シンガポール、台湾、中国、日本、米国、ベトナム、マレーシアなど、ルネサスの海外主要拠点の約120名の従業員から構成されています。グローバルでのダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンに関する方針や取り組みの策定を進めるとともに、推進に関してはリーダーがDPGメンバーともに、各地域で取り組みを推進するため主導的な役割を果たします。ミーティングで議論された内容は、社内イントラで従業員に共有しています。
このように、すべての従業員がダイバーシティの担い手であること、対話を通じ、社員一人ひとりが組織に存在する多様な人材の多様なものの見方・考え方などに気付き、その違いを受け入れ、尊重する姿勢など、ダイバーシティを身近に感じることを大切にして、取り組みを進めています。
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンに関する情報発信
多様な人材が能力を最大限発揮できる企業文化を醸成するため、当社グループ従業員向けに、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンに関するホームページを開設しました。社内イントラを通じて、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンに関する情報発信を積極的に行い、社員の意識啓発に取り組んでいます。また、経営トップが考えるダイバーシティの重要性について、定期的に発信しています。
男女賃金格差情報の開示(ジェンダー・ペイ・ギャップ)
ルネサスでは、平等な職場作りを推進しています。すべての従業員が、バックグラウンドに関係なく、業務に対して公正な報酬を受けられるようにすることも取り組みの一つです。その一環として、ルネサスでは従業員の給与データを分析し、男女間の平均給与の差を一部開示しています。
ルネサスは、地域に関わらず、グローバル組織として運営する「One Global Renesas」体制を採用しています。また、One Global Renesas体制では、グローバルに統一された職位やタイトルを用い、統一したパフォーマンス評価を実施しています。
役職定年(やくてい)
2023年12月、日本国内において、一定年齢に達した社員を一律に降格するやくてい制度を廃止しました。年齢に関わらず優秀な人材を確保・支援し、スキルや強みに応じて適切な役割に配属します。
2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |||
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管理職レベルの報酬 – ルネサス エレクトロニクス(株), 日本地域 | 男性平均 | 百万円 | 10.2 | 10.4 | 11.6 | 11.8 |
女性平均 | 百万円 | 9.8 | 10.0 | 11.2 | 11.7 | |
女性平均の倍率 | 倍 | 0.96 | 0.96 | 0.96 | 0.995 |
※2022年度より、厚生労働省の定める男女の賃金差異の算出方法に基づき計算した数値を掲載しております。
Gender Pay Gap Report
タイトル | 年 | フォーマット |
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Renesas Design (UK) Limited | 2022 | 2023 | |
Dialog Semiconductor (UK) Limited | 2019 | 2020 | 2021 |
外国籍従業員の積極採用
国内の新卒採用において、新卒採用者の内約20~30%の割合で外国籍従業員を採用するなど、外国籍従業員の採用を積極的に展開しています。2022年度の新卒では、4か国より25名の外国籍従業員(フィンランド、韓国、中国、台湾)を採用し、その国籍も年々多様化しています。入社後は、国籍を問わず、設計部門をはじめ様々な職場に配属し、育成担当者を設けてコミュニケーションを取りながら育成を図っています。
外国籍新卒入社比率実績
入社年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
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外国籍比率 | 16.1% | 22.5% | 28.0% | 26.6% | 20.8% |
欧州での取り組み
欧州の海外子会社の一つであるRenesas Electronics Europe Ltdでは、UKESF※と提携し、英国の大学で電子工学を学んでいる大学生に対して、有給でワークプレースメントを提供しています。当社グループのダイバーシティ採用のみならず、優秀なエンジニアの育成とエレクトロニクス業界の発展に寄与する取り組みをしています。
※UKESF (UK Electronics Skills Foundation)は、英国の大学で電子工学を学んでいる有能な大学生に対して奨学金を給付するなど、企業での就業機会を提供するなどの支援を行っている団体。
女性活躍の拡大に向けた取り組み
ルネサスは、ダイバーシティの中でも、女性の活躍推進は特に強化を図っています。あらゆる職種における女性比率を高めるとともに、職位においてもリーダーの女性を増やしています。従業員の多様性を進め、社会貢献を実現するより良い製品・ソリューションの創出を促進しています。
女性採用比率の拡大
技術系職種は、採用の対象となる機電系の女子学生が非常に少ないという背景はあるものの、女性エンジニアの活躍や、働く環境などについてWebサイトやセミナーなどを使って継続的にPRを行っています。現在、新卒採用について、採用者に占める女性比率を20%以上 とする目標を掲げていますが、今後も新卒採用者に占める女性採用割合の向上を図るとともに、性別にかかわらず活躍することのできる企業風土、体制を確立し、女性従業員の数を増やすことに注力します。
女性のキャリア開発支援(活躍推進)
ルネサスは、性別を問わず、全ての従業員がグローバルに活躍でき、その能力に応じた役割に就く機会を提供しています。2022年末時点で、女性の従業員比率は約25%です。また、管理職に占める女性比率は8.4%です。当社はグローバルに事業を展開しており、国内と比べて海外での女性管理職比率が高くなっています。国内の女性管理職は、2022年末時点で90人(管理職に占める割合:3.8%)となっており、うち女性の幹部従業員(事業部長相当職)は3人で、今後国内においても女性のリーダー人材の充足を推進します。
女性管理職比率(管理職に占める女性の割合、2022年12月末時点)
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | ||
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日本 | 人数(人) | 53 | 57 | 71 | 80 | 90 |
% | 2.1% | 2.6% | 3.1% | 3.5% | 3.8% | |
日本以外 | 人数(人) | - | - | 159 | 181 | 231 |
% | - | - | 17.6% | 16.0% | 15.7% | |
グローバル | 人数(人) | - | - | 230 | 261 | 321 |
% | - | - | 6.9% | 7.6% | 8.4% |
女性活躍推進をサポートする各種制度
女性活躍の拡大を加速させるためにルネサスは様々な制度を整備しています。例えば、出産休暇・育児休職を取得した95.5%(2022年度)の女性従業員が復職しており、仕事と育児の両立を実現しています。今後もさらなる女性の活躍推進を目指し、女性が能力を十分に発揮できるような支援を実施してまいります。
日本で提供されている制度の例
働き方改革 |
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各種制度 | ルネサスグループ両立支援制度
【育児】
【介護】
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採用 |
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育成・登用 |
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Global Semiconductor AllianceのWomen's Leadership Initiativeに賛同
当社グループCEOの柴田英利は、Women's Leadership Initiativeに賛同しています。Women's Leadership Initiativeでは、半導体業界のリーダーが同業界における女性の採用、雇用維持、昇進の促進に向けて尽力することを表明しています。この取り組みに賛同することにより、当社は以下について実現してまいります。
- ジェンダーの多様性の尊重と男女間賃金格差の是正。
- 女性従業員が最大限のポテンシャルを発揮できるよう偏見のない包括的な環境の創造。
- 女性従業員がよりプロフェッショナルになるべく成長できる教育、認識、エンゲージメント参加機会の提供。
- スポンサーシップや有意義なパフォーマンス目標を通じた昇進機会の創出。
国連による「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」に賛同
ルネサスは、国連グローバル・コンパクト(UNGC:United Nations Global Compact)と、UN Womenが共同で2010年に作成した、女性の活躍推進に積極的に取り組むための行動原則「女性のエンパワーメント原則(WEPs:Women’s Empowerment Principals)」の趣旨に賛同(2021年4月13日発表)し、WEPsに基づき行動するためのステートメントに署名しました。
今般のWEPsへの賛同は、ジェンダー平等の実現に加えて、ジェンダーに関係なく個人が最大限に能力を発揮できるインクルーシブな職場環境創出に向けた、ルネサスの揺るぎないコミットメントを示すものです。ルネサスは今後、職場や社会での女性の活躍推進に積極的に取り組み、さらに女性が働きやすく活躍できる環境づくりへの取り組みを加速させます。
「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」に参加
ルネサスの代表取締役社長兼CEOの柴田 英利は、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」(事務局:内閣府、男性リーダーの会)に参加しました(2021年4月23日発表)。男性リーダーの会は、女性活躍を推進するためには組織トップのコミットメントが重要と捉え、2014年に発足しました。様々な女性の意欲を高め、その持てる能力を最大限に発揮できるよう、男性リーダーが自ら取り組むことを表明する「行動宣言」を策定しています。ルネサスは、同行動宣言に沿い、全国各地の様々な業種の男性リーダーとのネットワークを深めながら、ジェンダー平等と女性活躍の取り組みを加速してまいります。
Inspiring Girls Internationalと次世代の女性を応援をするためのパートナーシップを締結
ルネサスは、将来を担う若年層の女性たちの向上心を高めることを目的とした世界的な慈善団体であるInspiring Girls Internationalのパートナーとして活動しています。ルネサスの女性エンジニアチームは、学生と様々なキャリアや人生の機会について語るというミッションのもと、バーチャルおよび対面式のプログラム(フランス、イギリス)に参加します。当社は、このように次世代の女性たちを支援することで、ジェンダー平等の実現に取り組みます。
障がい者雇用拡大に向けた取り組み
ルネサスは、障がい者の雇用に取り組んでいます。2022年の国内の障がい者雇用率は2.3%となっており、様々な職場で障がい者が活躍しています。設計や製造部門のほか、事業所でマッサージ師として従業員の健康維持にその技術を発揮しているケースも有り、幅広い分野で活躍しています。同様に、海外グループ会社においても、障がい者を雇用しており、グローバルでは1.0%の雇用率となっています。
引き続き、当社は社会的な責任を果たすと共に、多様性を発展の力として、障がい者の雇用と活躍をグローバルに推進していきます。
障がい者雇用率
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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日本※ | 2.2% | 2.2% | 2.3% | 2.3% | 2.3% |
グローバル | 1.0% | 0.9% | 1.0% | 1.0% | 0.9% |
※障がい者雇用率(日本)においては、障害者雇用促進法に定める計算方法にて算出(6月1日時点)
LGBTQ+に関する取り組み
ルネサスでは、LGBTQ+などに関する取り組みを強化しています。性的指向および性自認を含む多様性を肯定し、サポートすることが、私たち一人ひとりがありのままで、安心して働ける職場環境につながります。そこで、Diversity Promotion Group (DPG)の活動などを通じて、全従業員が性の多様性を理解し、受容する風土を醸成するとともに、LGBTQ+従業員に向けた制度や環境面の整備を進めています。
当社は行動規範において「性的指向、性自認」への差別・差別的言動を行わないことを明記しています。また、2021年6月には、ビジネスの力で、婚姻の平等を後押ししようというキャンペーンであるBusiness for Marriage Equality (BME)へルネサスのCEOとして賛同を表明しました。さらに、同年同月には、日本国内における人事制度について、配偶者の定義に、異性・同性を問わず、事実上婚姻と同様の関係にあるパートナーを含むこととする改定を行いました。今後世界各地の法制度や情勢に照らしながら、LGBTQ+当事者の方の権利を尊重する取り組みを各国・地域で実施する予定です。この他にも、LGBTQ+当事者が使用できる相談窓口の設置、会社生活での配慮に加え、採用活動においてもLGBTQ+を意識した改善を積み重ねています。今後DPGの活動により、社内においてLGBTQ+への理解を浸透させ、Ally(味方)が増えていくことも期待しています。
LGBTQ+ に関する取り組み一覧
風土醸成 | |
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制度・環境整備 | |
Diversity Promotion Group (DPG) 発足 |
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行動規範改定 |
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規則・制度の改定を社内周知 |
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Business for Marriage Equality賛同 |
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LGBTQ+ に関するトップメッセージ |
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LGBTQ+ フレンドリーの企業ロゴマーク使用 |
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啓発活動 |
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人事制度改定 |
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相談窓口設置 |
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会社生活での配慮 |
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採用活動での配慮 |
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※LGBTQ+とは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)、クィア/クエスチョニング(Queer/Questioning)、その他性的マイノリティ(+)の総称です。
※法的要件等により対象外となるものは除きます。
※国により法令や慣習が異なるため、各国毎に法令順守を前提とし、文化慣習に適切に配慮して対応することとしています。
SDGsへの貢献
ルネサスグループのダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンに向けた取り組みは、以下のSustainable Development Goalsに貢献しています。
SDG 5.1 あらゆる場所におけるすべての女性および女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
SDG 5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保する。
SDG 5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性および女子のあらゆるレベルでのエンパワーメントのための適正な政策および拘束力のある法規を導入・強化する。
SDG 10.2 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保する。